毎日の様にうなされる夢からお一つどうぞ....
私は未来の中学に通っていた。
未来と言っても校舎は今となんら変わらない。
「The未来」みたいなキテレツな風景もない。
お日様はポカポカ、木々も青々としている。 でも......
校舎の真ん中に突き出たあの巨大な物体は...なあに? 塔?オブジェ?
いいえ....
あれはスペースシャトルの先端ですよ。
行き交う生徒達は、それを気にも留めていない様です。だって
学校に一機は「スクースペースシャトル」を所有している時代なんですもん。
未来の土地事情は苦しいらしく、私の中学のシャトルは
校舎の真ん中に組み込まれた発射台にセットされていました。
発射台というより「誘導レール」くらいの簡単な物です。
そう。シャトルは気軽に飛ばせる乗り物へと進化をとげていたのです。
補助エンジン、補助タンクも不要。もちろん宇宙服も不要。
その頃にはもう教科書も無く、学科も無し。
「○○先生」は存在せず、「○○プランナー」が学校の教職員でした。
プランナーは「教えない」けれど、様々なシチュエーションをプランし、
次々に生徒に提示する・・・といった具合なのです。
その日の午前中、
某男性プランナーが「これからシャトルで課外授業に出るぞ」と言いました。
今日は宇宙で授業。うちのクラスは
入学して始めてシャトルに乗るとあって皆ドキドキしている様子でした。
クラス全員がワイワイと乗り込める程に、機体は大型化を実現。
そして秒読みもなく適当に発射。
「ドッカーン!ガガガ」というのかと思ったら「スワー」っと垂直に離陸。
ほとんど揺れないのでシートベルトすら無し。
機体はあっけないほど簡単に大気圏を離れ、無重力空間に到達。
でも機内には重力保持装置が設置されているので、
地上と何ら変わらぬ環境でした。
私は「な〜んだ、つまんないなあ・・」と思いました。
何処か適当な宇宙でシャトルは静止。
ハッチが静かに開きました。
そのハッチは、真っ暗な宇宙空間への掛け橋にもなっており、
掛け橋の先から不安定そうな延長足場が細く長く伸び、
はるか彼方の宇宙空間に消えていました。
その先には「宇宙喫茶」があるんだそうです。
不安を克服して不安定な足場を渡り、宇宙喫茶にたどり着いた者だけが、
360度の絶景?を満喫できる・・・
・・・これが今日の授業の「プラン」らしい。
私が躊躇していると、傍らを数名の男子がヨロヨロと渡って行きました。
しばらくすると
喫茶で宇宙を満喫する歓声がはるか彼方から聞こてきました。
私は密かに「悔しいなあ....」と思いました。
すると、同級生(中学の同級生で実在人物)のS君が
「ほら、僕の手をとって」と促してくれました。
実在のS君は内気な人でしたが、夢では静かながら勇気のある人で、
私は「あれ、本当のS君を解ってなかったんだなあ」と思いました。
足場の不安定さは思った以上でした。特に下を見ると、
底の無い暗がりに吸い込まれそうになります。
でもなんやかんや、女子では始めて喫茶に到達。
バカに寒いけどモノ凄い光景。みな、宇宙に吸い込まれそうで怖いから
大声で歓声を上げてるみたいにもみえます。
徐々に宇宙喫茶の人数は増えていきました。
シャトルに戻ると、大半の生徒が機体に留まっておしゃべりをしていましたが、
男性プランナーは構わず言いました。
「行った人も行かなかった人も、今回感じた事をレポートに書いて提出!」
あーあ。.......宿題だあ。
コレデこの授業はオシマイ! あとは学校に戻るだけ。
ほんの数分の飛行で、シャトルは何の衝撃もなく大気圏に突入。
そして校舎のド真ん中にホワーっと着陸して【ハイ!元通り】
し....しかしだ.....
クラスメイトが船外に出ていくのを見ていて、私はふと・・・思った。
「こ・・このシャトルは・・・私のもの・・・」
私は、とっさに機器の影に隠れてやりすごした。
ひたすらじっとして全員が降りるのを待った。
どれだけ待ったかよく解らないけれど、シーンとしてからも暫くはじっとしていた。
「さて、もういいだろう・・・」
ゴソゴソ姿を現すと意外なことが発覚した。向こう側の機器の裏からも人影?
そう....シャトルを手に入れよう思ったのは
私だけでは無かったのだ。
私は凄くびっくりして焦った。
そしてとうとう2人は面と向かった。それは同級生の男子だった。
それもクラスで一番カッコイイ男子だった。
( ほふっ.... )
彼は 真っ直ぐ私に向かってきて言った。
「そっか、君もか・・・じゃ一緒にやってみよう」
私は言った。
「操縦法も何も解んないけど、さっき見てたから何とかなるよね?」
男子は答えた。
「うん。さっき見てたから、なんとかなると思う・・・」
かくして2人はスクールシャトルを「いい加減に乗っ取った」のである。
それもスクールラヴロマンスみたいな気配に満ちているではないか!
「もしかして、宇宙で最高のデートに?」
私の脳内に、程よい緊張と都合の良い期待が渦巻いた。(コレぞ、夢の役得!)
二人は無言のまま操縦席に並び、機器にスイッチを入れた。
ブイ〜〜ン・・・電気系統スタンバイ。
もはや「なんとかなるだろう」 こう思うしかなかった。
発射前、私は少しだけ男子の横顔を見た。
しかし、この宇宙デートにはオチがあった。
我々はモニタリングされていたのだ!
プランナー達に監視&研究されてるなんて気づきもせずに
・・・2人は旅立った。
2005/4