「ミケラン爺・アッパレ職人」
 


さて、今回の福中通信は「アッパレな職人」を2編。

■■----その1 天才職人「ミケラン爺」----▲--■■

2月18日はイタリアの彫刻家ミケランジェロの命日(1564年)でした。

2/18、午前、私は 何となく....図書館に向かい、
「ミケラン爺」の大型美術本を二冊(デッサン&彫刻)をエサコラ借りて帰り、
数時間かけて、しげしげと鑑賞し、

2/18、夕方、私は 
何となく....近所の花屋に向かい、
黄色い「ミニ水仙」のポットを2つ購入し、
帰宅するなり、水仙を美術本の左右にお供えし、
そそくさとデジカメに収め、

2/18、夜中、 私は 
何となく....その本を防音室に持ち込み、
自分の曲を、歌を、ピアノを、一方的に「聞かせた」のでした。


ミケラン爺は、星を彫る手を止め、
「誰だっ! やかまし〜!」と叫んだかも知れませんが、
良いのです・・・天才とは天国でも忙しいものなのです。


「ミケラン爺」は、恐らく重く難しい頑固者。
政治、宗教・・・社会的潮流に振り回され、時に欺き、退避し、
パトロンを巡る芸術家間の派閥の渦にジリジリとし、
想像以上に、心がお疲れだったご様子。
何せ「次はラッファエロ君に仕事頼もうかなあ〜♪
でも、先輩のミケランジェロ君に悪いかなあ〜♪」...なんて、超豪華職人宝庫の時代。

むう・・・これじゃ全然気を抜けませんよね。

皆さんにとってどうか解りませんが、私にとって彼の作品は「イッ」ています。
これは個人的な想像なんですが、もし彼が何も不安のない生活をしていたら、
あんな「イッテル」作品にはならなかったろう、と感じるのです。
職人黄金時代のドロドロとした渦を横目に、
唯一、作品制作中にだけ神や霊感を模索した結果なのかなあ、と。

時代も凄く濃そうです。
垣間見たいような、見たくない様な時代.......何か血なまぐさい。
タイムマシンにでも乗って、天才職人達がしのぎを削る現場を見に行きたいけれど、
下手な事言ったら「魔女の火あぶり」にされそうです。

一方、今は、底から突くような人間パワーが希薄な時代なのでしょうか?
わたしは、少し物足りないと思うことがあるのですが、
皆さんはどう思われますか?

とはいえ、生まれる時代なんて選べないし、
もし選べたとしても、下調べがエライ大変そう
・・・(笑)

でも今生きてるから皆さんに出会えたんだし・・・それなら、
「今」をもっと近くに感じていたい。だって
地球上で同じ時代に生きてるだけでも偶然なうえに、
出会うなんて、凄い事だから。

さて、爺は極めて若いうちから頭角を現していますが、
どうやら「天才君」だけではダメで、
「プラスα」が山ほど必要だった模様。
後世に美化されてる話もあるかもしれないけれど、
ミケラン爺に関して、何となく解った「α」は・・・

 ★感受性の強い....★エネルギーの高い...
 ★忍耐強い...★頑固な....★完璧症の.....
 ★思慮深い....★子供の様な想像力溢れる....
 ★手先の器用な...「飛び抜けて天才の素質を持った人」が....
 ★切磋琢磨し...★駆け出し時の貧困に負けず....★常に行動し....
 ★パトロンを得るという幸運に出会い....
 ★政治的なイザコザをやり過ごし....
 ★数年費やした仕事を「やっぱ、無しでお願い〜」とかいう
  気まぐれにも耐え....
 ★報酬の滞りあらば遠路はるばる旅をし、自ら受け取りに行き....
 ★特別視されることを嫌い.... 
 ★内なる精神、プライドに溢れ....
 ★鬱病と戦い....
 ★石と格闘し愛し.....★己と格闘し愛し...
 ★出来の悪い弟子に愛を注ぎ....
 ★山を彫りたいと語り....
 ★「もう手が動きません」と手紙に書きながらも、 
   亡くなる6日前まで彫り続け....

 ....αααααα! 

  
うあああ〜、はあ〜〜。はあ〜はあ〜はあ〜 
この内一個欠けてもダメなのかも〜!

電気、乗り物がないだけで参ってしまいそうな今日からすれば、
なおのこと身が引き締まる思いです。

私は、彼の遺作「ミラノ・ピエータ」を見るとき、
「爺の最後のひと彫りはどこだったの?」・・・と
無数の鎚跡に思いをはせます。

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●●--その2「アッパレ・無名の色鍋島職人」--▲▲-----●●

年初め、北九州を一人旅しました。
ローカル線大好き。何も決めないイイ加減な旅が好き。
今回は、博多〜有明海沿岸〜長崎〜佐世保〜平戸〜
伊万里〜有田〜唐津〜博多と回りました。
まずは、有明海の干潟を見てみたくて・・・

長崎本線「肥前鹿島」という無人駅を降りると、

いきなり地元のかっぽう着のオバさんに
「うちの息子見なかった?」と聞かれ、旅はスタート(当然お役に立てず)
笑いをこらえて小さな駅舎を出ると、なんと駅前の道に
ニワトリとアヒルが歩いている〜〜! 
鳥好きの私には最高のお出迎えだ。「やっほ〜!」

肥前鹿島駅前の「コッコ軍団」。奥の建物が駅舎。やっほ〜♪

し、しかし・・・この駅は、いったい・・・(汗)

二度目の笑いをこらえ「コッコガーガー軍団」を追い越せば、すぐ干潟。
おお〜〜〜、これが有明海かあ! 干が引いた干潟は想像以上に広い!
隣の駅(かなり遠い)の海苔養殖場まで延々と広がっていた。
干潟に向かう足がどんどん加速・・・

まずは、ズボッと黄土色の干潟に指を入れてみる。
次にベシッと自分の手形をつけてみる。
生暖かくて滑らかなの泥んこの感覚は、初めての感覚だった。

見れば潟の所々にサギの足跡が型押しされ、まるで陶器の文様みたい!
このとき、ふと.....

「そうか〜、焼き物かあ〜」と思ったのでした。

有明海の干潟。サギ大先生の芸術作品?


そういえば、九州には有名な焼き物の産地が沢山有るんだっけ・・・と。


・・・ということで、他の訪問地も書きたいけれど、
お話は、ひとまず焼き物の地、佐賀県有田へ。

そう。ここからは「焼き物」のお話。...といっても、
私は焼き物に関してほとんど知識が有りません。
でも、今回色々焼き物を見て「この焼き物職人はスーパーだ!」
ってことだけは、体で解ったのです。

私が心を奪われたのは、
有田の九州陶磁文化館で見た「鍋島」の大皿。
館内の柴田コレクションも素晴らしかったけれど、
私の心深くに住み着いたのはこの一枚の大皿。

水辺に白鷺が佇む絵付けが施され、とても美しい構図だった。
皿をムラ無く覆う、吸い込まれそうな淡い「藍色」に白鷺は白く、
私は水の時間に深く落ちて行きそうでした。
これは「藍色」の瞑想? .....これぞ日本人の贅沢。

それにしても何て美しいんでしょう!
どうやってこんな均等に藍を塗るんでしょう?

解んないけど、職人バンザ〜イ!
 
「鍋島」とは
鍋島藩が、伊万里山中に特に優秀な職人を集め、
技法が外に漏れぬよう、関所まで作り擁護した環境で作られた磁器で、
秘蔵っ子職人による、幕府献上品であったそうな。
デザイン、構図、線、色使い、発色・・・
大胆で緻密な素晴らしい作品ばかりで、いたく感心しました。

しかし、そのスペシャルな職人達は個人名を残すでもなく、
秘密基地「鍋島藩窯」で高度な技を競った後、
今も静かに伊万里の山に眠っているのだそうです。

むう・・・・、職人バンザ〜イ!

さて、私はこの旅で、個人商店で「食べ物」を買うたび、
店の方をデジカメに撮らせて頂きました。

薩摩揚げ屋のおじさん... 緊張&真面目顔。
和菓子屋の美人さん... 初々しいはにかみ屋さん、
駄菓子屋のおじさん... ワハハハ〜豪快笑顔!
乾物屋のお母さんと息子さん... 元気にVサイン
果物屋のお姉さん... ひたすら照れ笑い。
魚屋のおばさんとお客さん.... 写真撮影に大はしゃぎ。
90度腰の曲がった露店のお婆ちゃん...、まったく表情変わらず....

みんないい顔。
人はみな、人生を紡ぐ職人だね。
一緒に生きててよかったよ。

アッパレ! ポン!(鼓の音)